プロジェクトを主催している「ぬか つくるとこ」では、毎日さまざまな「よくわからないこと」に出会います。「よくわからない」というのは、「理解しがたい」または「理解したことがない(未経験)」という状態です。自分の語彙では捉えることができない、未分類の出来事。そういったものに「なんでやねん」とツッコミを入れて面白く捉え直す。「なんでそんなんプロジェクト」は、人が行う営みをできるだけポジティブに捉え、楽しむための方法を模索するプロジェクトです。
「ぬかつくるとこ」ではぬかびとさん(施設利用者)の好きなこと、またはクセやこだわりを旨味ととらえ、無理せず過ごせる生活の場(生活介護事業)を運営しています。
当事業所では時に「なんでそんなん?なんでそんなこと?なんでそればかり?」と想像を超えた出来事に出会うことがあります。例えば「何重にも巻かれたセロテープの上からマジックで書いた文字を水で洗い流し、最後にはビリビリに破かれるファッション雑誌」や「他者が描いた絵をスタッフルームの扉と床の隙間から何枚も差し込む行為」などがそれです。これらは表現とも言えないような行為や痕跡であり、「なぜそのようなことをするのか、これは絵なのか彫刻なのか?」など、分類することが難しく、それを説明する適当な言葉を探すのに時間がかかります。ましてや福祉・教育業界では「問題行動」として取り扱われる可能性も多くあるでしょう。しかし「なんでそんなん?」な行為には行為をする人の思いや人間性が色濃く反映されるため、それをポジティブに捉えることが行為をしている人の生きやすさにつながると考えます。他者からは理解されにくいけど切実な行為、見過ごされがちで未分類な行為を排除するのではなく、「なんでそんなん?」という言葉とともに新たな角度で解釈するためのあたらしい方法が必要だと考えています。
私たちが提唱する「なんでそんなん?」は、お笑いでいうところの「ツッコミ」の言葉です。他者の突飛とも思える行動をネガティブに捉えるのではなく、ポジティブに受け入れ「ツッコミ」を入れる。ツッコミによって、多様な人の営みをおおらかに受け入れ「楽しむ」能力を高めます。想像を超える現実を前にユーモアを持ってツッコミを入れることのできる人材を育成することが、福祉、教育、医療、のみならず現代の社会全体に有効に働くことになると考えます。
鋭敏な感性で社会や物事を編集することができる特別な人材も必要ですが、ささいなできごとを「クスリ」と笑い、日常を楽しむことができる市井の編集者や「なんでそんなん」の発見者を耕すことができたらと考えています。
「なんでそんなん」なデキゴトはあらゆる人に通じるものだと考えています。だれもが持っている「クセ」のようなものかもしれません。自分にもあるし、自分の家族にもある。ささいなことかもしれないし、たいそう立派なことになるかもしれません。ですが、他者から見たら「なんでそんなことしてるの?」「なんでやねん!」と言われてしまいそうなこと。そんなことを当WEBサイトの投稿フォームよりご投稿ください。あなたのなんでそんなんをお待ちしています!