ツワモノくんの部屋にはなんか落ちてる。5ミリ四方の紙、ちりぢりの消しゴム、折れた鉛筆の芯。
ある日学校に呼び出され、恐る恐る教室に入ると、お道具箱の中を見せられた。何やらビニール袋がある。びっしり何か入っている。
「授業中、ハサミでクーピーを切り刻んでいたので、こちらで預からせて頂きました。」
家に落ちてるあのちりぢり、ハサミでやってたんかぁー。
あとで、ツワモノくんに聞いてみた。なんでクーピー切ったのか。
「中見たかったから。」
彼の予想は、インクか芯。鉛筆のようになっていると思ったらしい。
どうだった?
「何も入ってなかった。穴空いてた」
クーピーは全部芯みたいなモノだよ、と言いながら、変やなーと母は思った。
あんなに切らなくても、すぐ分かったよね?インクじゃないこと。
「ハサミで切るの楽しくなって切っちゃった。」
何が楽しかった?
「音」
耳が過敏なツワモノくんにとって、日常は音の洪水。ハサミの音は彼の味方かもしれない。が。
なんでそんなに、細か切るねーん。
ツワモノ君、ザクザクの魅惑には、勝てない。