ハルミケーションharumication

行為者|渡邊晴美Actor|Harumi Watanabe

発見者|丹正和臣Finder|Kazuomi Tanjoh

だれかれ問わず、一見、的外れとも思えるコミュニケーション。それは淡々と過ぎ去る日常のなかで見失いがちな、予定不調和なハプニングそのもののようだ。
唐突ともいえる晴美さんとの出会いは、そこに立ち会う人々に大げさとも感じさせる「演劇的でドラマチックな世界」の住人になるよう要請される。自分の名前さえも晴美さんの前では晴美さんなりに捉え直され、新たな名前を与えられる。それは虚構の世界の始まりであり。新たな人生の始まりであるような気もする。私たちの意思とは反して、一瞬一瞬は忘れ去られ、また一瞬のうちに新たな役者としてそこに演出される。晴美さんとのコミュニケーションはまさにマトリックスの世界への入り口のように私たちに開かれているようだ。どんな言葉をつくしても語れない、理不尽で素晴らしいコミュニケーションの世界がこの合理的で明白な現在の世界を救う手がかりになるような気がしてならないのは何故だろうか?