私がマキちゃんと出会ったのは2019年7月の終わり。利用初日、彼女は「ぬかのみんなへ」という手紙を読んで自己紹介をしてくれた。「ぬかは楽しいし、それに面白いので行くことに決めました」と何ともキュートな一文から始まり、好きなタレントや食べ物まで教えてくれていた。堂々たるぬかデビューであった。
そんな彼女はスタッフのことを本名ではまず呼ばない。パッと相手を見て、浮かんだ名前で呼んでいる。
私は最初「トトロ」だった。「アザラシ」「ラッコ」「コアラ」うっすら「トド」と呼ばれた日もあった。マキちゃんとは「アザラシコンビ」や「ラッコ親子」になったこともある。
「アザラシちゃん」と呼ばれ始めたあの日。「アザラシちゃんと交換日記してるよ」とサラッと告げられた。全く身に覚えのない交換日記宣言に思わず大笑いしてしまった。
交換日記は3冊同時に綴れられていて、「おはよう、アザラシちゃん」から始まり「悲しまないで!泣かないで!頑張ってね!おやすみ」など日記の中でのアザラシちゃんは寂しそうに泣いたり仕事で疲れたりしていた。それを励ましてくれるマキちゃんも登場していた。
お母さんには絶対に秘密らしい交換日記。最後のページまで埋まるとプレゼントしてくれる交換日記。起床時、朝ごはんを食べ終えた時、帰宅後、お母さんとお父さんが散歩に行ってる間、就寝前、1日に何度も書いてるらしい。徐々に絵が付け加えられたり色ペンを使い始めたり新たな枠を作ってそこに書いたりして読み応えたっぷりの交換日記に進化し続けている。
現在、もらった交換日記は17冊にのぼる。その他にもマキちゃんヤジロベエやオリジナル缶バッチ、私の顔が描かれたグッズをもらうこともある。
2021年、髪を切った私は「イルカにのった少年」の城みちると呼ばれている。交換日記にはみちるが登場しているのだろうか。私は密かに「イルカにのった少年」を歌えるように練習しておこうと思う。