物心ついた頃から、美術館に親しんできたハルタニとは、展示室ごとにお気に入りの作品を探し、その前でお話をすることがルーティンになっている。そして、すべての展示室を見終わったところで、一番のお気に入りのところに連れてってとお願いすると、毎度、一切話題にしていない温湿度計を案内。ボクはその度に、作品を分かち合った時間はなんやったん！？という思いをグッとこらえている。
 
ならば、その作品を分かち合おうと話しかけみるものの、途端に口数が減り、「カッコいい」と「不思議」以外のことばが出てくることはない。
 
今日も馴染みの美術館に出かけたものの、やはり同じ結末になった。そうか。ハルタニにとっては、饒舌に話すことができる作品よりも、理解不能なものの方がよっぽど面白いのかもしれない。彼は、このカッコよくて不思議な作品から何を発見し、どんなことばを開くのか？はたまた開かないままなのか？今後は、腰をすえて両者の関係を見守っていきたい。