友達?friend?

行為者|ささやき君Actor|Sasayaki-kun

発見者|強育肛務員Finder|Kyouiku-koumuin

この1年でヤスリで石を磨くことがライフワークになったささやき君。今日も校庭で拾った石を持参して通級し、240番から20000番までの11種類のヤスリを使用してピッカピカにした。
 
「キモすぎる…」
 
まばゆいほどの光沢に満足した彼は、さぞかし大切に保管するのかと思いきや、あろうことか、校庭に出て、その石を投げたり、蹴ったりして延々と遊んでいるではないか。2時間、彼の石磨きに付き添ったボクとしては、その行為になんでそんなん!? フリーズしたまま、日没の時刻まで眺めていると、彼はとうとう石を見失ってしまった。暗い中、広い校庭を探しても見つからないと思ったお母さんは彼に帰ろうと諭すも、彼の耳には一切届かない。そして、退勤時刻が過ぎたボクも、何とか彼を諦めさせるために「いじめるから石の方から逃げていったんだよ。」と諭すと、彼は、
 
「ちがう。一緒に遊んでた。」
 
と地声で伝えてきた。そう。彼は、時間を掛けて磨きながら、石と親交を深めていたのだ。それなら、きっと見つかるはず。再会できるまで探せばいい。ボクが彼にとことんつき合う覚悟をしたその時、
 
「あったー!」
 
石を見つけたのはお母さん。ささやき君の石に対する思いよりも、お母さんの早く帰りたいという思いが勝った。友達になったはずの石の声も、彼の耳には届かなかったようだ。