西アフリカのブルキナファソという国に滞在している時の話です。その国の人々はフランス語を話し、黒い肌、分厚い唇、そしてちりちりの巻き毛を持っていました。そんな人達の中で白いおばけと近所の子供達の恐怖の視線を一身に受けていた日本人の私ですが、暑い生活にも慣れた頃にその「なんでそんなん」という出来事は起きました。
市場で買い物中、突然の頭部に激痛が走りました。仰天して後頭部を抑え後ろを振り向くと、現地の女子高生が立っていました。女子高生は笑顔で、「ボンジュール、マダム」と丁寧に挨拶をしました。よく見ると彼女の手が握っていたのはストレートの黒い髪が数本。私から引っこ抜いた髪でした。
「学校でお友達に見せたいの、真っ直ぐな髪の毛なんて素敵!初めて見たわ！」
そう言ってまた丁寧に「メルシー、マダム」と挨拶をして走り去っていきました。
私は、何も抜かなくてもいいやん。と言うフランス語が分からずに彼女の後ろ姿を見送りました。