”はーちゃん”は玄関や勝手口からスタッフを突き落として遊んでいる。その瞬間は突然訪れて、導かれるスタッフはお決まりとわかりつつも、”押すなは押せでもある”という先人たちのありがたい伝統芸の教えに習い、これまで幾度となく突き落とされてきた。スタッフの反応をあっさりと見送り、無邪気に笑いながら去っていく後ろ姿を何度も見てきた私はこれは芸ではなくゲームであると捉えた。 落とされる回数を数えるための、”勝手口落下数集計表”を作成することにして、これまでノーカウントで落とされていた状況に集計するという謎行為を挟むことで落とされることがまるでポイントのように感じてなんだか嬉しい。
集計表を始めてしばらくして、他の子まで私を突き落とし始めた。ここでも例に倣って、”導かれるままに”を徹底する。落とされるたびに集計表でカウントしているスタッフを不思議そうに見つめる彼は私に「何を書いてるん?」と、笑いながら伝えてきた。私は彼に「何だろうね」と伝え、少し笑った。そして”はーちゃん”の笑った顔も自然と思い出す、金曜日。


