神の舌を持つチッチキチキオ君は、学校の給食を一切口にしない。なので、午後になると空腹感に耐え切れず、帰宅しようと脱走を図ることが度々あった。
「体のために一口でもいいから給食を食べなさい。」
保健室の先生の指導から逃れようと、ある日、通級指導教室に避難してきたチキオ君。そして、職員室前廊下で「腹減った~」と転げまわる彼に、窓口からコップ一杯の水を差し出したのは愛子教諭。
「塩舐めて、水の水割りでも飲んでいきな。」
愛子教諭に促されるまま塩を舐め、水の水割りを一気に飲み干すと、笑顔になったチキオ君。
以後、職員室の窓口を『スナック愛子』に模様替えしたところ、チキオ君は毎日顔を出し、キープソルトをするほどの常連客となった。そして、水の水割りと愛子ママの愛で身も心も満たされたのか、脱走を図ることはなくなった。