海外からの旅行客や全国旅行支援で需要が増えたからなのかよくわからないが、週末になるとビジネスホテルであっても宿泊代が通常の3倍にもなっている。私は週末に出張仕事が多く予定を大きく上回る経費が嵩み大打撃である。
しかも10日以上前にホテルを探しても満室ばかりで、予約が取れるホテルは古びたホテルが多いのだが、それでも平日の3倍の宿泊代である。
さて、今日もやばそうなホテルだぞ。
外の看板の電球が切れかけていてチカチカ明滅している古ボケだビルに入ると、左手には剃刀の自販機が置いてある。大きくなりすぎた観葉植物に囲まれてスキンヘッドの初老の支配人に声をかけ、カウンターでチェックイン手続きをはじめる。
「プピヤ様お待ちしておりました。お疲れ様でございます。2泊のご予定で承っております。お客様は連泊のプランですが、毎朝9:00までにはお部屋をあけていただくプランになっております。チェックアウトは朝6:30~9:00の間にお願いします。それとですね、お客様のお部屋はテレビが壊れておりました、誠に申し訳ございませんがご了承下さい。あとですね、週末になりますのでお部屋の掃除はございません。もしタオルの交換がご希望でしたら一式ドアノブにかけておきますのでよろしくお願いします。」
おいおい、3倍の金払っているのにやたらと注文が多いじゃあないか。チェックアウト早いなあ。しかも色々と矛盾しとるぞ。面白すぎるだろ。テレビが壊れてる?まあ、どうせ見ないし、それはどうでもいい。しかし掃除やタオル交換が無いのに(当然シーツの交換も無いのに)毎朝午前9:00までに部屋を空ける理由ってなんなんだ?この昭和なホテルにまつわる推理と支配人に対してのプロファイリングの妄想が脳内を駆け巡っちゃうじゃん!
半笑いしながらチェックインを済ませて7階の部屋に入る。このフロアーはヒトケがない。これだけ古いビジネスホテルなら少しは音がするものだけど静かだ。コンビニで買ってきた1リットルのルイボスティーを冷蔵庫に入れて、パソコンを立ち上げる。とりあえずAbemaTVでサッカーを見ながら缶ビールを呑んで床に就いた。
さて朝になり、昨日冷蔵庫に入れたルイボスティーをコップに注いで呑もうとすると、カッチコッチに凍っている。マジかよと思いながら冷蔵庫の中を覗き込み温度設定を変えようとしたら、調整ノブが外れて無くなっている。まあ仕方ないなぁと心を落ち着かせて仕事場に向かいながらカフェでモーニングをとった。
さて深夜0:00にホテルに戻ると、眠そうな支配人が観葉植物をかき分けながら奥から現れた。鍵を受取り7階の部屋に向かうと支配人が言う通りドアノブにタオルセットがかかっていた。どこかのデパートの紙袋をリユースしてるしエコじゃのう、こういうのもアリだよねと手に取りドアを開け、まずはシャワー室のシンクに向かうと、、、誰かがシンクに血を流した様な痕跡があるじゃん!え?!なんで?
もし水道水が鉄分多めだったら水道水の色で気がつくし、口に含んだ時にもわかるはず。
とりあえず陽気な音楽を聴きながら床に就き、早朝6時半にチェックアウトした。