珈琲館(缶)Coffee house (can)

作者名|アキマサCreator|Akimasa

発見者|大野雅孝(父)Finder|Masataka Ohno (father)

アキマサの日常はルーティンワークに溢れている。
 
その中のひとつは空き缶加工業。とでも申し上げておこう。こだわりは加工対象の缶の種類と銘柄である。
 
缶は硬いスチール缶でなければならないようだ。おそらく加工のし甲斐があるのだろう。
しらんけど。
銘柄は必ずコーヒーで、指定銘柄はだいたい5種類。色やカラーで選んでいるのだろう。
しらんけど。
 
市内のどこに自動販売機があり、そこにどの銘柄が売っているかを把握していて、指定場所で買うことを促されるのだが、言葉でしっかり伝えられない彼は何となくイメージする「言葉」で知らせてくれる。いわば暗号のようなものだ。
 
私たち夫婦がその情報共有を怠ると自動販売機を探して路頭に迷うことになる。あの「言葉」を言ったら…あそこの自動販売機のことだ!と車を走らせることを期待されているのだ。
 
加工工程はいつも同じで、その手はタコだらけ。痛いともいわず、毎日せっせと加工している。加工工程が同じなので、その完成品はすべて同じ形に仕上がっていく。ショート缶も例外ではない。
 
出来上がる数量も大変多いので、一部はコレクションとしてしばらく部屋の中のカゴに保管してある。大事なものなので監視員(コッパくん)をつけて見守らせているのは、親の勝手なエゴである。