「なんかさぁー、版画で6年との思い出を彫るらしいんだけどさぁ、アウトだよね。卒業の時期だからちょうどいいとでも思ってんのかね。真剣に考えてコレだったら生きる屍だよ。“真っ黒”な作品で出そうかなぁ。」
昨日、図工の題材について不平不満を漏らしながら、“彫らない版画”で抗うと決めたひれカツ姉ちゃんが、今日は版木持参で朝イチ通級。職員室に入ってくるなり、題材そのものへの不平不満をカッターナイフで刻み、釘を打ち付け、木槌で叩きまくるクセの強~い手法で版画を試みた。不平不満をぶちまけているはずが、やればやるほど楽しくなっていく自分に気づいた彼女は、
「怒りと楽しさは表裏一体だね。」
と、また一つ自分の中に「ニューウィンドォ」を吹かせていた。