昨シーズンは、阪神タイガースと鳥谷敬選手への敬愛を選手1196体の紙工作で表現したものの、オフに入ると、選手作りがピタッと止まったハルタニ 。春になり、プロ野球シーズンが始まると、何の前ぶれもなく、外出時の車中で突如、後部座席から「六甲おろし」が漏れ聞こえてきた。この鼻歌に球春到来を感じた私は、再び長い創作ロードが始まることを覚悟。翌日から、登園前のルーティーンだった選手づくりが始まった。
 
４歳となる２シーズン目は、素材にダンボール、画材は色鉛筆やクーピー、ペンを使い、裏面には見よう見まねで選手名を漢字で書くようになった。様々な描画材を巧みに使い分け、漢字まで書くようになったこと。そして、興味の対象が阪神タイガースから他球団の選手にも広がったことに進化を感じていたが、一切「耳」と「腕」が描かれていない。なんでそんなん ！？
 
「耳はないのかぃ？ 腕はないのかぃ？」
 
不審に思った私は、創作中の彼に何度となく聞いてみたが、一向に選手から耳と腕が生えてくる気配はない。
 
なぜ腕を描かないのか？描く時に、耳や腕に意識が向かないお年頃なのか？
 
しかし、BIG BOSS新庄の球界復帰で事態は急展開。夕方のニュースでBIG BOSSの記者会見を目にしたハルタニは、強い衝撃を受け、そのままBIG BOSSづくりに没頭。そしてBIG BOSSの顔に「耳」を描き、さらに真っ白な歯まで描いた。驚いた私は「なんでBIG BOSSには耳があるのかね？」と聞くと、
 
「襟が耳まであるから。」
 
とのこと。BIG BOSSの白シャツについた10センチもの大きな襟が、ハルタニに「耳」の存在を気づかせたのだ。日本ハムファイターズの球団や選手だけでなく、ハルタニの意識まで変えてしまったBIG BOSSは、やはり偉大なのだ。